これからのAndroidアプリのビジネスモデルの話をしよう
はじめに
前回の記事JavaでAndroidアプリケーション作った② ~SurfaceView~でも書きましたが、先日パズルの国のアリスというアプリをリリースしました。このアプリは現在無料で、広告も一切ありません。また、受注などではなく自分で企画・制作したため収益はありません。つまり現在ビジネスとしては全く機能していないんです。でもAndroidの開発者と名乗るためには現在のビジネスモデル、今後のビジネスモデルを考えていく必要があると感じていますので、自分の展望をいくつか書いてみたいと思います。
現在のAndroidアプリの主なビジネスモデル
- 有料アプリ
- 最も直接的に収益を見込めるのが有料のアプリを作ることでしょう。
- 広告
- 一般的なWEBサービスのビジネスモデルと同じようにAndroidアプリも広告によるビジネスモデルは多いです。
- その他
- クーポン・月額課金など独自のビジネスモデルを利用するところもあります。
アプリ市場の拡大とその後の閉塞感
現在はAndroidアプリの市場も拡大傾向にあるのだと思います。有料アプリや広告で収益をあげることが可能で、しばらくはそれが続くと思います。しかし、市場が飽和状態になったときにはどうなるのでしょうか。まずユーザー自身がマーケットでアプリを探すという行為が少なくなってゆくと思います。僕の周りにいるiPhoneユーザーは最初こそ面白くてappストアをよく覗いていたようですが、使い慣れるにしたがって端末に入っているアプリはほとんど固定的なものになっていったそうです。「作れば売れる」というわけにはいきません。
ソーシャルゲームの方向性
おそらくソーシャルゲームが流行出したのはtwitterユーザーが主に利用していたブラウザベースの「Mob Strike」だと思います。その後mixiアプリやGREE、モバゲーでも存在が目立つようになり、スマートフォンアプリでも数を増やしています。しかし、最近になってソーシャルゲームユーザーも飽きてきている感があります。GREEではカードゲームのフレームワークを構築し、同じようなシステムで多様的なゲームを作ろうとしているようですが、ユーザー的な視点でみると同じようなゲームをいくつもやってもそれほどの感動が得られるとは思いません。
かつて急激な上昇を見せたGREEやDeNAの株価もここにきて反動を見せている傾向があります。ではユーザーが飽きたときにとるべき道とは何でしょうか。それは次のようなことだと思います。
- 飽和した日本市場からの脱出
- 新たなビジネスモデルの構築
DeNAなどは最近海外企業と提携等をして海外へ日本で培ったビジネスモデルを輸出しようとしています。海外への展開は収益を見込めると踏んでいるのでしょう。海外へ目を向けないとすれば新たなビジネスモデルを構築するしかありませんが、それが簡単にできるわけもありません。
ゲームは飽きられることを前提に作るべき
スマートフォンゲームに限らず、ゲーム市場はかつても今も常に出しては飽きられています。どんな名作もそうでしょう。コンシューマーゲームの場合は飽きられるからこそ新たなソフトを開発し売ることができるともいえます。
しかし、課金や広告などのスマートフォンアプリは飽きられることを前提としていないビジネスモデルで、やがて終わりを見ます。それでもどんどんリリースしたり、有料のアプリケーションにしたりという方法もありますが、先述したとおり一人のユーザーがマーケットを覗く機会は少なくなって行きます。
飽きられることを前提とすれば新たな方向性が見えてくる。
僕自身がユーザーとしてゲームに飽きて新たなゲームをしなくなる理由は、飽きてしまったゲームにかけた時間や金は、それをやらなくなったときに無駄になってしまうという失望感があるからです。コンシューマーゲームのクオリティの高いゲームではたとえ少しの時間でも感動が得られるためそれほどの失望感は感じません。
また、人は何かを保存していたいと考える傾向があり、資格マニアが仕事に必要の無い資格を「所有」することにアイデンティティを持ったり、切手コレクターの持つ所有欲などはそれにあたります。昔やったゲームのセーブデータをいまだに保存していたりするのはその「保存していたい」気持ちからで、自分の行った労力やゲーム内で所有しているものを無駄にしたくない気持ちからだといえるでしょう。
労力を保存する仕組み
携帯の端末には容量制限があり、使わないアプリはアンインストールしたいものです。でも先述したようにデータは保存しておきたい。そんなときに僕が感じるのはデータをアプリケーション自体に保存するのではなくそのための仕組みがあればいいのにということです。
GREEでは以前(今も?)フィーチャーフォン向けの簡単なフラッシュゲームで一定のスコアを達成するとアバターに表示できるバッジがもらえました。条件に応じてブロンズ・シルバー・ゴールドなどの種類をもらうことができ、アバターに表示して人に自慢することもできます。非常に良い仕組みだと思いました。
GREEのこの仕組みのように、データそのものではなくそれに見合った代替のものでかまわないと思います。たとえば自社のアプリをクリアした人には会員登録してもらい、一定のポイントを与えたり、ゲーム内で売ったアイテムをポイントに換えたりします。そのポイントは自社のほかのアプリでも登録・利用が可能という仕組みを作れば、ユーザーに失望感を与えずに囲い込むことができるかもしれません。
そのポイントを提携する企業のクーポンとして利用できたりするとモチベーションもあがるでしょう。さらに会員の数が増えたらそのポイント登録を自社のアプリだけでなく他のデベロッパーのアプリからも利用できるようにオープンにすればその幅も広がります。現在特定のプラットフォームを利用して得点などを保存する仕組みはありますが、アプリを横断的に保存できる仕組みはあまり聞きません。グリーやモバゲーでゲームで使えるポイントがあったりしますが、それはユーザーによる課金を仕組み化するものです。
Androidはリアル世界とデータとの架け橋
Androidはオープンソースです。現在は主にスマートフォンに搭載されていますが、最近ではタブレット・パソコン・テレビ等にも搭載され、その領域はどんどん広がっていくと思われます。このあたりはiPhoneとの違いが明確になっていくところだと思います。「労力を保存する仕組み」でも書いたようなポイント機能をNFCで街で利用できたりもするかも知れません。Androidアプリ制作者はモバイルに限らず一大プラットフォームとしての利用を考えて行くことになるでしょう。